わかるところから確認

相続税のからくり

相続税を確認したい方へ:申告が必要か判断するための基本と最新ポイント

※本記事は、2026年7月2日時点で確認できる国税庁の公式情報をもとに作成しています。実際の申告要否や税額は、財産内容、相続人の状況、遺産分割の内容、適用できる特例によって変わります。判断に迷う場合は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。

相続税は「基礎控除額」を超えるかどうかが最初の判断基準

相続税がかかるかどうかを確認する際、まず見るべきなのは、遺産総額そのものではなく「正味の遺産額」です。正味の遺産額とは、預貯金、不動産、有価証券などのプラスの財産から、借入金、未払金、葬式費用などを差し引き、必要に応じて生前贈与財産などを加算した金額をいいます。

国税庁は、正味の遺産額が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告および納税が必要になると説明しています。基礎控除額の計算式は、次のとおりです。

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人であれば、基礎控除額は4,800万円です。この場合、正味の遺産額が4,800万円を超えるかどうかが、申告要否を確認する第一の目安になります。

参考: 国税庁 No.4102「相続税がかかる場合」

相続税の対象となる財産を漏れなく確認する

相続税の対象となる財産には、現金、預貯金、土地、建物、有価証券、貴金属、自動車、貸付金など、金銭に見積もることができる経済的価値のある財産が幅広く含まれます。不動産や預貯金だけを確認して終わりではなく、証券口座、生命保険、退職金、貸付金、未収金なども確認する必要があります。

また、死亡保険金や死亡退職金は、民法上の相続財産とは扱いが異なる場合がありますが、相続税では「みなし相続財産」として課税対象になることがあります。ただし、相続人が受け取った死亡保険金については、500万円 × 法定相続人の数まで非課税枠が設けられています。死亡退職金についても、同様の非課税枠があります。

参考: 国税庁 No.4105「相続税がかかる財産」
参考: 国税庁 No.4114「相続税の課税対象になる死亡保険金」
参考: 国税庁 No.4108「相続税がかからない財産」

不動産がある場合は評価額に注意する

相続財産に不動産が含まれる場合、相続税の確認は特に慎重に行う必要があります。不動産は、預貯金のように金額が明確ではなく、固定資産税評価額、相続税評価額、実勢価格が一致しないことが一般的です。

土地については、国税庁が公表する路線価図または評価倍率表を用いて評価するケースが多くあります。建物については固定資産税評価額を基礎にするのが一般的です。自宅、賃貸物件、農地、山林、私道、貸宅地など、土地の利用状況によって評価方法が変わるため、自己判断で低く見積もると、申告漏れや過少申告につながるおそれがあります。

また、自宅の敷地などについては、一定の要件を満たすことで「小規模宅地等の特例」を適用できる場合があります。たとえば、被相続人等の居住用宅地については、一定の面積まで評価額を大きく減額できる可能性があります。ただし、取得者や居住継続、保有継続などの要件が細かいため、適用できるかどうかは必ず確認しましょう。

参考: 国税庁 路線価図・評価倍率表
参考: 国税庁 No.4124「小規模宅地等の特例」

相続税の税率は10%から55%

相続税は、遺産総額にそのまま税率を掛けて計算するものではありません。まず、正味の遺産額から基礎控除額を差し引いて「課税遺産総額」を求めます。その後、法定相続人が法定相続分どおりに取得したものと仮定して相続税の総額を計算し、最終的に実際の取得割合に応じて各相続人の税額を按分します。

国税庁の速算表では、法定相続分に応ずる取得金額に応じて、税率は10%から55%まで段階的に定められています。たとえば、1,000万円以下は10%、6億円を超える部分は55%です。単純な「遺産総額×税率」ではないため、正確な税額を知りたい場合は、財産評価と法定相続人の確認をしたうえで計算する必要があります。

参考: 国税庁 No.4152「相続税の計算」
参考: 国税庁 No.4155「相続税の税率」

配偶者控除や特例を使う場合も申告が必要になることがある

相続税には、税負担を大きく軽減できる制度があります。代表的なものが、配偶者の税額軽減です。配偶者が取得した正味の遺産額については、1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までは、原則として配偶者に相続税がかかりません。

ただし、配偶者の税額軽減を適用するには、原則として相続税の申告書を提出する必要があります。「特例を使えば税額がゼロになるから申告しなくてよい」と誤解しないよう注意が必要です。小規模宅地等の特例についても、適用によって税額が下がる場合には、申告書の提出が必要になるケースがあります。

参考: 国税庁 No.4158「配偶者の税額の軽減」

申告と納税の期限は10か月以内

相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。通常は、死亡日の翌日から10か月以内と考えます。申告書の提出先は、相続人の住所地ではなく、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署です。

期限までに申告や納税をしなかった場合、延滞税や加算税が発生する可能性があります。相続税の申告期限までには、相続人の確定、財産調査、不動産評価、遺産分割協議、納税資金の準備などを進めなければなりません。10か月は長いようで、実務上は決して余裕のある期間ではありません。

参考: 国税庁 No.4205「相続税の申告と納税」

最新の注意点:生前贈与加算は段階的に7年へ延長

近年の重要な改正点として、生前贈与加算の見直しがあります。令和6年1月1日以後の暦年課税による贈与については、相続税の課税価格に加算される対象期間が、従来の相続開始前3年以内から段階的に7年以内へ延長されています。

具体的には、相続開始日が令和8年12月31日以前の場合は相続開始前3年以内、令和9年1月1日から令和12年12月31日までの場合は令和6年1月1日から死亡日まで、令和13年1月1日以後は相続開始前7年以内が加算対象期間とされています。

また、相続時精算課税制度についても、令和6年1月1日以後の贈与から年間110万円の基礎控除が設けられています。生前贈与を相続税対策として検討する場合は、暦年課税と相続時精算課税のどちらが適切か、将来の相続税への影響も含めて判断することが重要です。

参考: 国税庁 No.4161「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」
参考: 国税庁 No.4103「相続時精算課税の選択」

申告が必要か迷ったときの確認方法

相続税の申告が必要か迷った場合は、まず財産目録を作成しましょう。預貯金、不動産、有価証券、生命保険金、死亡退職金、借入金、未払金、葬式費用、生前贈与の有無を整理し、正味の遺産額を把握します。

そのうえで、国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」を利用すると、相続税申告のおおよその要否を確認できます。ただし、このサービスは申告書を作成するものではなく、あくまで申告が必要かどうかの目安を判定するものです。不動産がある場合、特例を使う場合、生前贈与がある場合、相続人間で分割協議がまとまっていない場合は、税理士への相談が望ましいでしょう。

参考: 国税庁 相続税の申告要否判定コーナー

令和8年分の申告では最新様式を確認する

2026年時点の最新情報として、国税庁は「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」および「相続税の申告書等の様式一覧(令和8年分用)」を公表しています。令和8年1月1日から令和8年12月31日までの間に亡くなられた方に係る相続税申告では、令和8年分用の様式を確認する必要があります。

国税庁は、令和8年分用から様式を変更している旨も案内しています。過去の様式を使うと手続きに支障が出る可能性があるため、申告書を作成する際は、相続開始年に対応した最新の様式・手引きを確認しましょう。

参考: 国税庁「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」
参考: 国税庁「相続税の申告書等の様式一覧(令和8年分用)」

まとめ

相続税を確認する際は、まず「正味の遺産額」と「基礎控除額」を比較することが出発点です。ただし、実際には不動産評価、生命保険金の非課税枠、債務控除、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、生前贈与加算などによって、申告の要否や税額は大きく変わります。

特に、不動産を所有している場合、生前贈与を受けている場合、相続人同士で遺産分割がまとまっていない場合には、早い段階で専門家へ相談することが重要です。相続税の申告・納税期限は10か月以内です。早めに財産を整理し、申告が必要かどうかを確認することが、税務リスクと相続トラブルを防ぐ第一歩になります。

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